　ガジ　12月 25日 - 青天の霹靂

　人間 54年も生きてくればそれなりに　出会いも別れも経験して来る。
そうこの前の岩ケンや渡辺君の様に忘れられない友達もいる。
今日書こうとしてる佐藤は友達と言うより仕事仲間いや身内みたいだったな。
あいつもこの時期に亡くなってしまった。

　始めてあいつに有ったのは駅前のホテルディナーショーの仕込み
搬入のトラックの後ろに立っていた。　
裾の広がったラッパズボンに紫のラメのツッカケそれも女物。
頭はきれいに広がったアフロへヤー　俺絶対友達になれないと思ったもんだ。
　

　そんな佐藤もきっと俺の事は嫌な奴と思ってたんじゃないのかな。
でも、仕事を始めて見ると佐藤はすごい仕事ができる。職歴を聞いてびっくりしたね。　
中学生の時からピンを振ってる。それもレビューショーで。
分かりやすく言うと中学生から照明屋だったんですね。　それも、上手い照明屋です。

　何時の頃からか俺達はつるんで歩く様になっていた。　
紫のツッカケと、パンタロンだけは止めてもらったけどね。

　すっかり、友達になってからだが、佐藤のピンフォローに舌を巻いた事が有る。
日舞の古典物で鷺娘をやった時だ。日舞は俺の専門職の様に良くやってたし、
佐藤が嫌うのは分かっていたから、（時間が長いし変化に乏しいと思っているだろうから）この時はどうしようもなく人の手配が出来ず佐藤にピンを頼んだ。

　鷺娘は完全暗転の中置き唄が有ってそれから笛の音一つ
そのしばらく後サスがジワジワと立上がる。後ろ向きに立つ踊り手は白い衣装で傘をさして、立っている。
サスが30も立ち上がらないうちだが踊り手はゆっくりと前を向く様に右から左へと回って行く。

　この回りに合わせてピンはゆっくりとフェードイン。
普通のピンはどうしても傘から入って前身に持って行くのだが、佐藤は違った。
回り出して少しして額が斜めに見えるまで待って、額の真中からフェードイン
踊り手が前を向くまでの時間を測ったかの様なゆっくりとしたファードイン
こんなきれいなフェードインを見たのは俺は無かった。きっとのこの先も見る事は無いだろう。
これを本番のみリハ無しでやっちゃうんだからすごいよ。

　俺達は、仕事やってるんだか，飲んでいるんだか分からないって良く言われてた。
そりゃそうだ。この時期のバブルの頃は、毎日ホテルのディナーショー
終わって、1時2時そっから飲みに行って次のホテルの入るのは朝の７時それまでは飲んいた物な〜。
昨日の仕事と今日の仕事は違う昨日の仕事を覚えていては、
今日の仕事に差し障りが有るとかなんとか理由点けて、記憶が無くなるまで飲んでたよ。

　子供が嫌いだって言う割りには家に来ちゃさくらと遊んでどうして良いか分からなくなって困った顔してたっけ。
さくらと始めてキスしたのはお前だからな。　絶対忘れないよ俺は！

　　　　　　　　　　　　　　　佐藤へ　　　2010/12/25 藤原
　　

　　　ジャンランジャランは昨日も中止　
　　　　　相変わらず午前中は熱が来てます。　すっかり友達に慣れそうですよ。
　　　　　熱以外にもいろいろと有って、メールの返信が滞っています。
　　　　　ごめんなさい。