ブキティンギ 12月22日

 
 もっちゃんがね 八百の方の話をしろって うるさいんですよ。
もっちゃんの癖でしょうか 自分が許容出来ない話は すべて嘘に入れてしまうんですね。 可愛い奴です。 
でも この話も嘘じゃないからな。


 これも、30年位前かな〜 ネパールで 味を占めてしまった旅の面白さを忘れられずに、
今度は タイのバンコックから、バリ島まで 下りて行こうとしていたんですね。


 スマトラ島の真中位で 赤道を超えて直ぐの所に ブキティンギという高原の街があります。
俺はそこのホテルのロビーで バスを待っていました。バスは ジャカルタ行き
10時くらいに 迎えに来ると言う話が もう、12時を過ぎようとしていたんですよ。
まあ、東南アジアではこんなもんは 常識だと思えるくらいには 慣れて来ていました。
と,ホテルの前の道を 知ってる顔が タイの小さな島で 一緒だったタカシです。
声をかけると 彼も一緒に ジャカルタまで行っちゃおうかな〜と話がまとまり、
タカシも荷物を持って来て 一緒にバスを待つ事に


 バスが来たのは、もう 腹も空いて来た 4時近かったんじゃないかな〜
ま、バスに乗れたから、良しとしましょう。
やって来たバスは 前面のベンツマークが 燦然と輝く大型バス。
ところが、中は真中の通路が狭く 片側3人掛けです。げ!これは狭い
で、通路には 誰が持ち込んだ物やら 行きたニワトリが 大きな鳥かごの中に
なんかすごい事になりそうです。 チケットを買った時に どれ位の時間が掛かるのかと訊ねても
言葉を濁されていたのは どう言う事かな〜
外人そう、ここに行けば 俺達が外人なんですよ。外人は 俺とタカシの二人だけ、
で,優遇措置なのか ドライバーの後ろに座らせてくれました。


 待ち疲れた 俺達はいつの間にか寝ていたのでしょう。目が覚めると バスは真っ暗な中で,止まっていました。
なんか客達も バスを降りて それぞれくつろいでいます。
俺達も バスを降りて 体を伸ばしていると、車掌(おっちゃんです)が来て,
片言の英語で、しばらくバスは動かない。ブロークンだ!でもこの辺から離れるな。
ここは、ジャングルの中で デンジャラス。と言って行きました。
なんかそう言われてから見ると 森の奥の方から 遠吠えが聞こえて来そうだし
目が光っていそうです。

で、俺達は 修理屋さんが来るのを待ってるんだとばっかり思ってたんですよ。
違いましたね! ドライバーが 2人 車掌が 2人 この4人が メカニックも担当なんですよ。
で、やおら エンジンを開け出すと ミッションも割り始めてます。
見てると 自信を持って仕事を進めています。これは 原因が分かってそこに進んでいるんだなって感じがありありと。
なんか、これだこれだみたいな事を インドネシア語で 行ってます。
取り外した部品は 直径10cm位の ボールベアリングの入ったスペンサー
オイルが良く回らなくなって ベアリングの回りがすり減ってる様です。
俺達みたいな トウシロウの外人 その上 言葉も通じないにも、なにやら説明してくれながら、
今度は 2班に分かれて仕事を進める様です。


 かたっぽは ゴミの中から 缶詰の缶を拾って来ると きれいに切り開いて 金づちで伸ばしています。伸ばせば ブリキの板になりますよね。 その板をスペンサーとベアリングの間に出来てしまった 隙間に何枚も切って 上手にはめ込んで 隙間を無くしてるんですよ。


 もう一方のチームは 車掌が 真中の通路で 座る時に使ってる、昔 食道でよく見た
丸いパイプ椅子を持って来ると その足を一本 長さを測って 切っています。
切ったのを見せてくれたのですが 中が抜けていて ほんとのパイプになってるんです。
で、俺にはよくわからないのですが オイルが 足りなくなったのは オイルを送るパイプの問題らしくて、
そのパイプの変わりを その椅子の足で作る様です。
その直線のパイプを そーっと曲線になる様に カーブに合わせて 曲げて行く様は、もうアートの域ですね。
見てて楽しかったので たかしと俺は ずっと見物してましたよ。
空が 紫色に染まり出す頃 ようやく エンジンの蓋が閉まって。ブルルンと武者震いを一度した後
何事も無かった様に バスは見事な復活を遂げていました。
このチームなら パリ〜ダカでも大丈夫って感じが 俺達の中にも沸々と。


 そうそう、どうやって 知ったのか バスの回りには バイクに 食べ物を積んだおじさん達が いつの間にか集まり出して 小さなバザールが出来ていました。
この人達の行動力もすごいな〜 ジャングルの中を バイクで走ってくるんですね。


一応 断っておきます。 スマトラのジャングルには 象 サイ トラがいると言われています

この後 このバスは 俺たちを乗せて このミッショッンが壊れる事も無く 4泊5日の長い旅を走ってくれるのです。

この旅の事も、もっちゃんが書いてと言ったら 書こうかな?


   で、ジャランジャランは、昨日も 午前中に 同じ様に発熱で 中止をしました。
    ハッピーエンド 微熱少年を鼻歌にして 楽しんでます。
    天上の木目 ゆらゆら〜